世界農業遺産
本当においしい 椎茸の佃煮

本当においしい
椎茸の佃煮

豊かな風土と匠の技が守り育てた美味

数あるキノコ類の中でも馴染みが深く、私たち日本人の食卓を古くから輝かせてきた椎茸。メイン料理として舞台の主役を演じることもあれば、物語を陰ながら支える縁の下の力持ちとしても活躍する存在はそう多くはありません。 そして創業時から私たちが注目しているのが「低温発生品種」。

現在市販されている原木栽培の椎茸の品種は発生する温度帯で中温性菌、低温性菌の2つに大別されており、低温発生品種は中でも栽培が難しいと言われています。

寒い冬時期に集中的に発生するため管理が難しく、他の品種に比べて収穫期間も短いため、干し椎茸の生産が全国で最も盛んな大分県であってもその生産量は全体の2割ほど。希少な品種ですが、弊社所在地である国東市においてはおよそ5割を低温発生品種が占めています。

本地域は大分県の北東部に位置する国東半島の東側にあり、昔ながらの農村風景や変化に富んだ美しい海岸景観を有するまち。2013年には古くからその特異な地形や水利を活かし営まれてきた循環型農林水産業が着目され、国東半島・宇佐地域が「世界農業遺産」にも認定されました。

このような恵まれた自然環境と農家の地道な努力により、国東市は県内でも有数の低温発生品種の産地として発展してきました。

低温発生品種の“品種”とは、植物で例えると“たね”のことを指し、低温発生とはキノコの発生温度帯の違いにより椎茸を分類したものになります。傘の巻き込みが強く丸く見える「どんこ(冬菇)」、傘が開きヒダ立ちが美しい「こうしん(香信)」のように形状の違いを表したものではありません。

「本当においしい 椎茸の佃煮」は低温発生品種の中でも特に味に定評のある2品種を使用しています。下記にこの2種の「低温発生品種」の特徴をより詳しくまとめましたのでご覧ください。

1.低温の時期に集中発生しますが、採取後の椎茸は痛みが早いため乾燥のペースにも配慮する必要があります。専用の乾燥機は高額ゆえに十分な台数を農家が持つことは難しく、1台の容量も限られているため大量生産は困難。そもそも他の品種に比べると発生量が少なく水分管理も難しい上に、秋はほとんど収穫ができません。また温暖化傾向にある現在の状況では、今後も収穫量の減少が予想されており、他品種の生産性の高さからも「低温発生品種」の希少性はより高まると思われます。

2.水戻しの際に強い香りがするのが特徴です。味わいは旨みが強く、甘みもしっかりと感じられる上に後味はすっきり。また個人的な意見にはなりますが、低温発生品種は日本産椎茸の原種に最も近く“幻の椎茸”とも言われる、「204」の味わいに近いものを感じます。204とは熊本県の生産者様が極一部で生産している希少品種のこと。その品種と同様に椎茸が持つ本来の味と香りを楽しむことができます。

またこの佃煮に使用している椎茸は、美味しい時期に収穫された“春子(はるこ)”を使用しています。原木栽培の椎茸は春と秋に収穫され、旬である春に採れたものを春子と呼び、本来の味と香りを感じることができます。

  • 旨味の強い低温発生品種の椎茸

  • 低温発生品種は低い温度で発生する椎茸です

  • クヌギ林とため池がつなぐ農林水産循環

  • 品種の違いで分けられた椎茸栽培場の様子

  • 水戻しすると良い香りが部屋中に広がります

  • 春に収穫される春子(はるこ)椎茸

地球が喜ぶ循環型農法

原木を伐採するところから始まる椎茸栽培は約2年半後に最初の発生が始まります。使用する原木はクヌギの木で、椎茸栽倍に非常に適しています。クヌギは伐採しても切り株から新しい芽が出て、約15年後には再び使用できます。芽が出て大きくなる過程で二酸化炭素を多く吸収するため、定期的に伐採することが地球環境改善の役に立っているそうです。

11月 伐採の様子

伝統的な九州醤油

醤油は大豆と小麦を原料に微生物の働きによってつくられた発酵調味料で、旨味成分を多く含んでいます。日本にしかない不思議なカビ“麹(こうじ)”によって小麦と大豆が旨味たっぷりの醤油になります。本製品は明治38年から大分県中津市で伝統の古式製法で醤油を作り続けている田中醤油店の良質な醤油を使用しています。

  • 大豆を蒸す工程 

心をつなげる製造工程

使用する椎茸は製造前に必ず味見をし、基準を満たす味であることを確認します。基準を満たしたものは椎茸の軸を切り、半分に割ることで異物の混入がないかを確認しています。

椎茸の持つ旨味成分を引き出すため冷たい水で水戻ししてスライスし、良質な醤油でじっくりと炊き込みます。基本的な工程を丁寧に丹精込めて行うことで、これまで携わってきた人々の美味しいものへの思いがひとつになります。

醤油の主な旨味成分はグルタミン酸で、干し椎茸はグアニル酸です。この二つの旨味成分が合わさる事で旨味の相乗効果がおこります。旨味たっぷりの「本当においしい 椎茸の佃煮」はごはんのお供に最適です。卵かけご飯にも良く合いますよ。

  • 旨味の多く含む肉厚な素材を使用

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